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・事例 1:テーマ「人材問題」

ディスカッションプロセス:
オリエンテーションの結果を踏まえ、以下のメンバーにてオープンダイアローグを実施(約2時間)。
クライアント(クラ): A社 社長
コーディネータ(コー): 心理カウンセラー
オーディエンスA(オA): 会社員経験者、現在は⼼理カウンセラー
オーディエンスB(オB): 企業経営経験者、心理ファシリテータ

【オープンダイアローグ実況(一部)】

コー: 今日は、お時間いただきありがとうございます。
クラ: こちらこそありがとうございます。
コー: オリエンテーションの内容を拝見させていただきましたが、今回は人材についてという理解でよろしいでしょうか?
クラ: はい、一言でいうとそういうことですね。
コー: では、早速ですが、具体的に人材のどういったことについて問題と考えているのでしょうか?
クラ: そうですね。うちの会社は創業15年になるのですが、いろいろありましたが、なんとかこれまでやってきて、ちょうど年商3億をクリアした状況なんですよね。で、これから5億、10億に向けて会社を大きくしていこうと思っているのですが、なかなかですね、なかなか人が定着しないんですよ。。
コー: そうですか、人が定着しない。。いったい、何が人を定着させなくしているのでしょうか?
クラ: 何がって、結局面白くないのかなぁ。ウチもね、それなりにお金かけて募集とかするわけですよ。そうすると何人かは応募があるんですよね。だから人によっては面白そうな仕事ではあるのかもしれませんね。ただ、面接して、これはという人を採用するんですが、仕事しているうちに、なんかネガティブな感じになって、結局辞めていくんですよね。何がって言われたら、うーん、やっぱり入社の時のイメージと違うのかなぁ。。
コー: ほう、イメージですか。その「イメージの違い」って、どんなものですか? 
クラ: まぁ一応、海外ビジネスなので、結構英語得意な人とかも来たりするんですけど、なんかそういうきれいな仕事とか、かっこいいとかいうイメージとはちょっと違うわけ。もっと泥臭いわけですよ。まぁ辞めるわけだから、みんなそんなこと言わないですけどね、だいたいそんな感じじゃないですかね。仕事も結構きついしね、全部自分でやるのかウチの基本スタンスだから。
コー: 「全部自分でやる」とは?
クラ: 全部ですよ。仕入れの調査、交渉から税関業務、そして販路開拓など、すべてできるようにならないと一人前といえないんですよ。もちろん、上司や部下、アシスタントもいて、チームにはなっているけど、基本的には、ひとりで全部見ておかないといけないから、それなりに厳しい仕事かもしれませんね。

コー: ありがとうございます。ちょっとここでいったん中断させていただきオーディエンスの皆さんにご意見お聞きしますね。(オーディエンスの)皆さん、なにかありますか?
オA: 全部ひとりでやらなきゃいけないっていうのは、従業員にとってみるとかなり厳しいかもしれませんね。まぁ、効率はいいのかもしれないけど、結構なプレッシャーかもね。
オB: 会社規模によっては、オールラウンダーにならざる負えないこともありますよね。御社の組織はどんな形になっているかお聞きしたいですね。

コー: はい、(クライアントに向かい)御社の組織というか体制はどのような形でしょうか?
クラ: ウチはシンプルですよ。基本的に開発部、業務部、管理部の3部門です。開発がメインですね。調査、交渉、販路開拓を行う部門で、業務は商品の在庫や発送管理などで、管理はいわゆる総務経理です。部といっても、業務2名、管理2名でほかは全員開発部ですね。
コー: 開発部はチームに分かれているとかあるんですか?
クラ: はい、3つの課にわかれています。ひとつは部長が兼務で、ほかは課長が管理職ですね。
コー: 3つの課は、なにか商材とかでわかれているんですか?
クラ: いや、特に何かで分けているわけではありません。先ほども言いましたが、ウチは全部自分でやるのが基本なので、まず自分で商材を探すところからやるわけなんです。だから課の特色というより、管理の利便性とチームでの競争を促す目的になるのかな。
コー: ありがとうございます。Bさん、なにかありますか?
オB: そうですね。課長の役割というか仕事はどんなものですか?
コー: (クライアントに向かい)課長の役割を教えていただけますか?
クラ: 課長の役割ですか。チームの責任者なので当然数字の責任は持ってもらいますね。あとは、部下の業務管理や、もちろん相談などにも乗ったりしますね。ただ、ウチの場合、課長も自分の数字を持つプレイングマネージャなので、どうしてもその辺は不十分になるのかもしれませんね。

  ※ 中略
  その後、組織の役割、仕事の具体的な内容、退職者の特徴など、会社の抱える問題の状況をより詳細に話してもらう

コー: 御社が抱える人材の課題についてだいぶ理解できました。社長としては、社員にどういったキャリアパスを望むのでしょうか?
クラ: なかなか、難しいとは思うけど、やっぱりなんでもできるオールラウンダーを求めますね。そのうえで、会社を引っ張る人材が出てくるとうれしいですね。
コー: 現在は、そういう人材は何人くらいいるのですか?
クラ: そうですね、完全な人材はいないですね。
コー: 部長や課長は?
クラ: まぁ、部長も課長も私から見ると物足りないですね。ある意味で年齢と社歴で管理職になっているけど。。本当の意味で優秀な人材かというとちょっとね。
コー: やはりいませんか。
クラ: うーん、あえて言うなら私ですかね(笑)。なんだかんだ言って「オレみたいになってほしい」というのがあるのかもしれませんね。結局ね、起業してまがいなりにも15年経営して、まぁ全部自分やらないとダメなわけですよ。そうなると、「なんでできないんだ」という風に見てしまうんですよね。
コー: 「なんでできないんだ」ですか。「なんでできないんだ」は、あなたと社員との関係に、どんな影響を与えているのですかね? 
クラ: どんな影響って、
そりゃ、人それぞれ適性があるし、能力だって違うのはわかっているだけど、やっぱり「オレだってやったんだからやってくれよ」って、なっちゃうんですよね。
コー: 「自分ができるんだから、社員もやれるはず」という考え方を、社長はいつから持たれるようになったのですか?
クラ: ん、いつからって?
コー: 「自分ができるんだから、社員もやれるはず」と思ってしまうのですよね。どうしてそういう考えを持つようになったのか、もしくは誰にそういった考えを教えられたのかという意味です。
クラ: うーん。。

コー: ちょっとここでオーディエンスのご意見お聞きしますね。(オーディエンスの)皆さん、なにかありますか?
オB: 経営者視点と社員視点はどうしても変わってきますよね。なかなか経営者のやってきたことを社員が理解するのはむつかしいですよね。まぁ、背負っているものが違うといってしまえばそうなのかもしれませんが。。
オA: でも、社長は「人それぞれ適性があるし、能力だって違う」とおっしゃっていいたわけなのに、どうしても社員にご自身と同じパフォーマンスを求めてしまうのですかね?
コー: そうですね。社長も皆さんのご意見は重々理解されていると思います。ちょっと視点を変えて、社員の意見や要望についてお聞きさせていただいてもいいですか?
クラ: いいですよ。
コー: 会社を辞める方が多いとのことですが、そういう方々、もちろんいまいる方もですが、社員の方々はどのように働きたいと思っているでしょうか?
クラ: そうですね。当然、プレッシャーなく、自分のできる範囲での仕事をしたいと思っているでしょうね。自分しかいないというのもやっぱり大きなプレッシャーかもしれないですね。
コー: ほほう、どうやら「プレッシャー」が社員の離職に影響を及ぼしているといるのかもしれませんね?
クラ: 影響って?「プレッシャー」が社員の離職に影響を与えているってことですか?
コー: はい、ようするに「プレッシャー」は、社長と社員との間に入り込んで、どんなふうに社長と社員との間を引き裂こうとしているのかなと思いましてね。このような考え方はいかがでしょうか?
 
  ※ 以下、省略
  ※ この後、組織の在り方、後継者問題、社長の理想などをお聞きして終了

明らかになった問題:
1. 社長と社員の考えの差異
⇒ 社長の思惑と社員の思い、要望にずれが生じている

2. 社員のストレス
⇒ 組織構成と仕事方法が社員にストレスを与えている

3. 社員のキャリアパス
⇒ 社員自身がどのように成長していくのか具体化しない

問題解決のための提言&ディスカッション:
1. 社員の要望把握
2. 継続性のある育成計画と成長の「見える化」
3. 経営方針の優先順位設定

A社とのアセスメント結果として、上記の問題と提言を社長に提出。その後、二次アセスメント(ディスカッション)を行い、社長の考えを明確化し、経営施策の判断を促した。


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